真面目な人に仕事が集中するのはなぜ?抱え込む働き方を見直すために
「これも、お願いしていい?」
一つ仕事を終えると、次の仕事が来る。
急ぎの対応。誰が担当するか決まっていない仕事。以前、一度だけ手伝ったはずの業務。
頼まれると、放っておけない。誰かが困っているなら、できる範囲で応えたい。
そうして引き受けているうちに、自分の担当が少しずつ増えていく。
周りからは、頼りになる人だと思われている。評価もされているかもしれない。
でも、仕事を終えても、次の予定が頭から離れない。家に帰るころには、好きなことをする気力が残っていない。
「必要とされているのに、どうしてこんなに疲れるのだろう」
その疲れを、自分の要領だけの問題にしなくていい。
きちんと応える人に頼ることが続くと、仕事の分担を見直す機会がないまま、負担が偏ってしまうことがある。
これまで頑張ってきたことと、これからも同じ量を引き受けることは、分けて考えていい。
1.きちんと終わらせると、次の仕事が来る
頼まれた仕事を、期限までに終わらせる。わからないことは調べる。問題があれば、関係する人に確認する。
そうした仕事ぶりは、周りの安心につながる。
ただ、その安心が「この人に頼めば大丈夫」という分担の習慣になることもある。
担当が曖昧な仕事を、いったん引き受ける。忙しい人の代わりに、一度だけ対応する。
そのあとで、誰が続けて担当するかを決めないまま、次も同じ人に連絡が来る。
気づけば、手伝った仕事が、自分の仕事になっている。
困ったときの相談先も、いつも同じ人。小さな確認がいくつも入り、自分の仕事を進める時間が細かく切れていく。
頼む側には、一つのお願いでも、受ける側には、いくつものお願いが重なっている。
個々の仕事を終わらせる人がいても、仕事の配り方を決める人がいなければ、偏りは残る。
引き受けた本人の努力で、見えにくくなっている負担もある。
2.「できる人」の評価が、自分を縛ることもある
「あなたなら、できると思って」
そう言われると、うれしい。期待に応えたいとも思う。
一方で、断ったら、今までの評価が変わるのではないかと気になることもある。
少し無理をすれば終わる。前にも何とかできた。ここで自分が引き受ければ、話が早い。
そう考えて、今回も応える。
でも、前にできたことが、いつでも無理なくできることとは限らない。
他の仕事が増えているかもしれない。家族の予定が変わったかもしれない。前回は、休む時間を削って間に合わせただけかもしれない。
引き受ける条件は、そのときどきで違う。
そして、得意な仕事にも、続けたいものと、少し離れたいものがある。
調整が得意だから、いつも調整役になる。問題を解決できるから、難しい案件が集まる。その間に、自分が学びたいことや、試したい仕事は後回しになる。
できることは、自分の力だ。その力をどこに使いたいかも、自分の希望として考えていい。
「得意だから任せたい」と「これからも担当したい」は、同じ答えにならないこともある。
3.効率を上げても、仕事が減るとは限らない
忙しいと、まず自分のやり方を見直そうとする。
早く終わらせる方法を探す。資料を簡単にする。作業の手順を整える。
そうした工夫で、楽になることはある。
ただ、空いた時間に次の仕事が入るなら、負担は減らない。以前より多くの仕事を、同じ時間でこなすことになる。
何のために早く終わらせたのか、わからなくなることもあるだろう。
必要なのは、個人の工夫と一緒に、仕事の量や分担を見直すことだ。
何を優先するか。今はしない仕事は何か。誰が担当するか。どこまで対応すれば十分か。
一つの仕事を追加するなら、今の担当をどう調整するか。
その話がないまま、「できる人に任せる」が続くと、工夫した人のところに、また仕事が集まる。
負担を減らすために空けた時間を、全部、次の仕事で埋めなくてもいい。
休む時間や、落ち着いて考える時間も、残しておきたい。
4.引き受ける前に、何を減らすかを相談する
「断ればいい」と言われても、簡単ではない。
相手との関係がある。お客様への対応がある。断った仕事が、別の忙しい人に移ることも気になる。
そんなときは、引き受けるかどうかと一緒に、引き受ける条件を話してみよう。
例えば、こう伝える。
「今はAとBを担当しています。こちらも対応する場合、どれを優先するか相談したいです」
「今回は対応できますが、次回からの担当も決めておきたいです」
「期限までにできるのは、この範囲です。残りをどう分担するか確認させてください」
全部を引き受ける前に、今の仕事と並べて見る。
一覧にするなら、大きな案件だけでなく、定期的な確認や、途中で入る対応も含めてみる。予定表に載っていない仕事が、時間を使っていることもある。
そのうえで、上司や関係する人に、優先順位と担当の調整を相談する。
上司の側でも、本人が何とか終えているからといって、余力があるとは限らない。新しい仕事を頼むときには、今の担当を一緒に確認したい。
仕事を書き出したり、伝え方を変えたりしても、調整されない場合もある。その結果まで、自分の説明不足として抱えなくていい。
負担を伝えるのは本人にできることだ。仕事の配分を整えることは、組織として取り組む必要がある。
5.役割を減らすことも、経験を生かす選び方
仕事の分担を見直したい気持ちの奥に、役割そのものを変えたい希望があるかもしれない。
管理する仕事を少し減らして、現場の仕事に戻りたい。調整役を離れて、一つの専門分野に取り組みたい。新しいことを学ぶ時間を持ちたい。
そこまで考えると、今まで積み上げたものを手放すように感じることもある。
せっかく任された役割だから。ここまで経験を積んだから。今さら違うことをするのは、もったいないのではないか。
でも、担当や役職を変えても、身についた経験がなくなるわけではない。
人に話を聞く力。仕事を進める力。問題を整理する力。その経験を、違う役割で使う道もある。
今の職場で担当を変える。管理職を降りる希望を相談する。別の会社で、仕事の範囲を変える。
実際に選べる条件や、収入がどう変わるかを確かめながら、自分に合う量を探していく。
「時おり、マップ。」なら、働く量を変える道も、職場を変える道も、学び直す道もある。

今、気になるところに○をつけてみよう。これまでの評価だけでなく、これから使いたい時間を考えるために。
経験を生かすことと、同じ役割を続けることは、分けて考えられる。
6.真面目に働く力を、自分の暮らしにも向ける
頼まれたことを大切にしてきた。困っている人がいれば、何とかしようとしてきた。
その仕事ぶりまで、変えなければならないわけではない。
ただ、周りのために使ってきた力を、自分の毎日にも向けてみたい。
家族と夕食を食べる。休みの日には、仕事から離れる。学びたいことに時間を使う。何も予定を入れない夜を持つ。
そうした希望も、仕事の相談をするときに含めていい。
仕事を減らせたら、空いた時間に、また何かを引き受けたくなるかもしれない。
その前に、何のために量を見直したのかを思い出してみよう。
落ち着いて働くため。疲れを残さないため。これから試したいことに時間を使うため。
全部を一度に変えなくてもいい。
次の依頼を受ける前に、今の担当を確認する。一つだけ、分担を相談する。続けたい仕事と、減らしたい仕事を書いてみる。
そこで得た余裕から、次にしたいことが見えてくることもある。
真面目に働いてきた経験は、役割を減らしてもなくならない。
その力をどこに、どれくらい使うか。これからの自分に合う形を、少しずつ選んでいこう。

