40代、友達と疎遠になったら|用事がなくても会いたい人はいるか

「落ち着いたら、また会おう」

そう送ったメッセージが、最後になっている。

何かあったわけではない。けんかをしたわけでもない。仕事が忙しくなり、家族の予定が増え、気づけば何年も会っていなかった。

ふと連絡先を開いても、何と送ればいいのか迷う。

今さら連絡するのも変だろうか。忙しいかもしれない。久しぶりなのに、特に話すこともない。

そうして、画面を閉じる。

仕事では毎日、多くの人と話している。連絡を取る相手もいる。それなのに、休日に誰かと会おうと思うと、思い浮かぶ人が少ない。

寂しいような気もするけれど、新しく人付き合いを増やしたいわけでもない。

ただ、以前のように、用事がなくても会える人がいたらと思う。

大人になってからの友人関係は、昔と同じ形では続かないことがある。

それでも、今の自分たちに合う距離で、また話せることはあるかもしれない。

1.疎遠になった理由を、一つに決めなくてもいい

学生の頃は、会うための約束がいらなかった。

同じ場所に通い、顔を合わせ、帰り道が一緒になった。話したいことがあったから会った日もあれば、会っているうちに話し始めた日もある。

働き始めてからは、住む場所も、休む日も変わる。

子育てや介護をしている人もいる。仕事から離れた休日は、一人で休みたい人もいる。

誰かを嫌いにならなくても、会わなくなる理由はある。

それなのに、連絡が途切れると、自分の中で理由をつくってしまうことがある。

もう会いたいと思われていないのかもしれない。自分から連絡しなかったのがよくなかったのかもしれない。

実際には、相手も同じように、連絡するきっかけを逃していることがある。反対に、今は以前ほど付き合う余裕がないこともあるだろう。

相手の気持ちは、こちらだけではわからない。

会わなくなった年月だけで、その関係に意味がなかったと決めなくていい。

一緒によく笑ったことも、話を聞いてもらったことも、そのときの自分を支えていた。それは、今の連絡の回数とは別に残っている。

2.会うことにまで、理由を求めていないか

久しぶりに人と会うとき、何を話そうかと考える。

仕事の相談がある。聞きたいことがある。紹介したい人がいる。

そうした用事があれば、声をかけやすい。

一方で、「何となく顔を見たい」だけだと、誘うことをためらう。

相手の時間を使ってもらうのだから、何か役立つ話ができたほうがいい。せっかく会うなら、よい店を探したほうがいい。

そこまで考えて、また今度にする。

仕事では、目的を確かめてから時間を使うことが多い。会議にも、訪問にも、何を話し、何を決めるかがある。

その習慣のまま、友人との時間まで考えていることがあるのかもしれない。

でも、近況を報告するだけの日もあっていい。

昔の話をして、最近食べたものの話をする。しばらく黙って、お茶を飲む。特に何も決まらないまま帰る。

会って何が得られたかを、毎回確かめなくてもいい。

帰り道に、少し気持ちが軽くなっている。あるいは、ただ懐かしかった。

そのくらいの時間を、予定に入れてもいい。

3.昔の二人に戻らなくてもいい

久しぶりに会うと、以前のようには話せないことがある。

昔は面白かった話が、今はそれほどでもない。相手が大切にしていることを、自分はよく知らない。こちらの暮らしも、簡単には説明できなくなっている。

「前は、もっと気楽だったのに」

そう感じると、会わないほうがよかったのかと思うかもしれない。

でも、会っていなかった間も、それぞれの毎日があった。

仕事で悩んだこと。誰かと暮らし始めたこと。別れたこと。体調を崩したこと。以前なら気にならなかったことが、今は気になること。

何年もたっているのだから、同じでないところがあっても不思議ではない。

昔を知っているからといって、今の相手まで知っているとは限らない。

「今は、どんなふうに過ごしているの?」

そう聞いて、話を聞くところから始めてもいい。

自分も、昔の役割を続けなくていい。

いつも場を盛り上げていた人が、今日は静かでもいい。相談を聞く側だった人が、少し話を聞いてもらってもいい。

変わってしまったことを埋めようとするより、今の相手を少し知る。

そうして、以前とは違う付き合い方ができることもある。

4.すべての縁を、つなぎ直さなくてもいい

連絡先を眺めていると、懐かしい名前がいくつもある。

ただ、懐かしいことと、今会いたいことは、同じとは限らない。

会うたびに仕事や収入を比べられる。昔の失敗を、何度も笑い話にされる。帰ったあと、どっと疲れる。

長い付き合いでも、今の自分には負担の大きい関係もある。

その場合は、距離を置いたままでもいい。

友人が少なくなったと感じると、昔のつながりを全部失わないようにしたくなることがある。

でも、連絡先の数を戻すことが目的ではない。

今、どんな人と、どんな時間を過ごしたいのだろうか。

気を張らずに話せる人。考えが違っても、話を聞ける人。会ったあと、無理をした感じが残らない人。

思い浮かぶ相手が、一人でもいい。

そして、昔の友人だけに限らなくてもいい。

近所で顔を合わせる人。趣味の場で、少し話す人。ときどき一緒に昼食を取る人。

深い話をしなくても、生活の中に、会えば言葉を交わす相手がいる。そうした関係も、自分の日常を支えてくれることがある。

親友と呼べるかどうかを、急いで決める必要はない。

5.「また今度」を、小さな約束にしてみる

会いたい人が思い浮かんだら、短く連絡してみてもいい。

「久しぶり。今日、前によく行った店の近くを通って、どうしているかなと思いました」

用事がなくても、そんな言葉から始められる。

会うなら、一時間のお茶でもいい。近くで昼食を取るだけでもいい。

何年分もの近況を、一度に話そうとしなくていい。再会を立派な予定にしなくてもいい。

もちろん、返事がすぐに来るとは限らない。予定が合わないこともある。

それを、自分への評価として受け取らなくてもいい。相手には、こちらからは見えない暮らしがある。

何度も誘い続ける必要はない。ただ、会いたいと思ったことを、一度伝えてみる。

年齢を重ねると、仕事の予定が落ち着いた頃には、別の事情で会いにくくなることもある。引っ越しや体調の変化で、以前のようには出かけられなくなることもある。

だからといって、焦って誰とでも会う必要はない。

ただ、「いつか」が自然にやってくるとは限らない。そのことは、少し覚えておきたい。

会いたいと思う相手と、無理なく会える今が重なっているなら、短い時間をつくってみてもいい。

お茶を飲んで、取り留めのない話をする

久しぶりに会ったからといって、特別な話ができるとは限らない。

最近、朝早く目が覚めること。よく行っていた店がなくなったこと。休みの日に、何をしているかということ。

そんな話をしているうちに、お茶が冷める。

以前なら気になった沈黙が、今日はそれほど気にならない。話が途切れたところで、相手も窓の外を見ている。

仕事のことを詳しく説明しなくても、近況をうまくまとめなくても、一緒にいられる。

そういう時間が、自分には少なかったのかもしれない。

友人との関係を、昔の形に戻さなくてもいい。いつも連絡を取り合う間柄にならなくてもいい。

会って、少し話して、帰る。

帰り道に、また会いたいと思う。

何かを相談するためでなくても、次の約束をしていい。

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