仕事で評価されないのがつらい|「気にしない」では片づかない気持ち
面談が終わって、席に戻る。
今回も、大きな変化はなかった。今後に期待している、という言葉はもらった。
でも、今の仕事は、どこまで見てもらえていたのだろう。
誰も引き受けたがらなかった調整をした。困ったときの連絡にも答えた。表に出る前に、いくつかの問題を片づけた。
その話は、ほとんど出なかった。
評価を気にしすぎなのだろうか。他人の言葉に振り回されない人になれたら、楽なのだろうか。
そう自分に言い聞かせる前に、認めてほしかったものが何だったのか、確かめてみたい。
欲しかったのは、褒め言葉だけではない
評価されたいと言うと、もっと褒められたい人のように聞こえる。
でも、欲しかったのは、拍手だけではなかったはずだ。
給料に反映してほしかった。担当を増やす前に、今の負担を見てほしかった。次の仕事を任せるときに、こちらの経験も候補に入れてほしかった。
それは、働く条件についての希望でもある。
生活がかかっている場所で、評価を全部気にしないのは難しい。評価によって、収入や役割や、選べる仕事が変わるからだ。
「自分だけがわかっていればよい」という言葉では、受け取れなかった待遇は埋まらない。
公平に扱ってほしいという願いまで、承認を求めすぎていると片づけなくていい。
まずは、何を求めていたかを分けてみる。お礼の一言なのか、給与なのか、担当の調整なのか。望みが具体的になると、話し合う対象も見えやすくなる。
問題が起きなかった仕事は、見えにくい
目立つ成果の中には、わかりやすい数字がある。
売上が増えた。新しい仕組みができた。大きな案件が決まった。そうした仕事は、人にも説明しやすい。
一方で、日々の仕事には、何も起きないように整える仕事もある。
相手の勘違いに早めに気づいた。引き継ぎで抜けそうな情報を確かめた。強く言われる前に、困り事を聞いて対応した。
うまくいけば、問題は表に出ない。その分、何もしなかったように見えてしまう。
それをすべて周りが察してくれるとは限らない。上司も、仕事の一部しか見ていないことがある。
だから、何をしていたか、伝わる形で残すことには意味がある。
ただ、今まで記録していなかったからといって、仕事が存在しなかったわけではない。
説明しやすい仕事だけを価値あるものにすると、誰かが支えていた日常が、見えなくなってしまう。
「もっと見せ方を工夫して」と言われたら
成果を伝えるのも仕事のうちだ。そう言われることがある。
たしかに、伝えなければわからないことはある。自分が担当した範囲や、変わった点を整理すれば、話はしやすくなる。
でも、伝える工夫をしても、評価されない場合はある。
評価の基準が曖昧だった。最初に合意した目標と、あとから求められたものが違った。部署ごとの予算で、扱いが変わっていた。
そうしたことまで、本人の発信力不足にまとめてしまうと、話が進まない。
確かめるなら、「もっと頑張ります」の前に、何を見て判断したのかを聞いてみたい。
どの仕事が評価の対象になったか。足りないとされた点は、どの事実に基づくか。次の期間には、何をどう確認するのか。
相手を問い詰めるためではなく、次も同じ曖昧さの中で働かないために聞く。
自分が直せる点と、組織が説明する必要のある点を、混ぜなくてよい。
面談でうまく聞けなければ、あとから文章で確かめてもよい。理解できなかったまま、無理に納得した返事をしなくていい。
何をしても、足りない気がしてくる
認めてもらえない期間が続くと、仕事を増やしたくなる。
次の案件も引き受ければ、今度は見てもらえるはずだ。難しい仕事を片づければ、さすがに気づいてくれるだろう。
その期待で頑張れる日もある。でも、判断の基準が変わらなければ、増えるのは仕事だけになる。
評価が上がらない理由を確かめないまま、働く量で答えようとすると、限界がわかりにくい。
さらに、相手の反応を見てからでないと、自分が十分働いたと思えなくなる。
頑張る。反応を待つ。反応が薄いので、また頑張る。
この繰り返しの中では、自分で仕事を終える線が引けない。
どこまでを担当するのか。追加で引き受けるなら、何を減らすのか。その条件を先に話すほうが、自分の負担を守りやすい。
認められたい気持ちがあっても、認められるまで無制限に働く約束はしなくてよい。
一人の評価が、自分の全部に見えるとき
長く同じ職場にいると、そこの言葉が基準になる。
あの上司が評価しないなら、自分には力がないのだろう。今の役職以上に進めないなら、どこへ行っても同じだろう。
でも、その上司が見ているのは、決まった役割や条件の中で働く自分だ。
別の仕事では重視される経験が、今の部署では目立たないこともある。目標の置き方や、人員の事情で、力を出しにくい場合もある。
だから必ず外で評価される、という保証はない。
それでも、一人の判断だけで、自分について全部の結論を出す必要はない。
以前一緒に働いた人に、どんな仕事を頼みやすかったか聞いてみる。外の求人を見て、求められている役割を知る。自分の経験を、会社の用語を使わずに書いてみる。
転職を決めていなくても、できることはある。
ほかの見方に触れるのは、自分を無理に高く評価するためではない。今の評価だけを、唯一の事実にしないためだ。
残ることにも、離れることにも条件がある
評価が低くても、今の職場に残ることはある。
働く時間が生活に合っている。好きな業務がある。家族の事情で、しばらく環境を変えたくない。
その判断まで、自分を安売りしていると責めなくてよい。
ただ、何を得て、何を引き受けているのかは、確かめておきたい。自分の仕事をもっと認めさせるために、残り続けていないかも考える。
反対に、環境を変えるなら、次の場所で何が評価されるのかを聞きたい。
仕事の範囲は何か。目標を誰と決めるか。振り返りはどんな形でするか。数字になりにくい業務をどう扱うか。
待遇の数字だけでなく、その決め方も大切な条件になる。
今の場所に、わかってもらえないまま離れることもあるだろう。去ると決めてから、急に評価の言葉をもらうこともある。
そのときも、欲しかった一言と、これから働く条件を、別々に見てよい。
認めてもらえた喜びだけで、見直そうとしていた問題を全部戻さなくていい。
自分が評価する側にいるときにも
自分の仕事を見てもらえなかった寂しさを知ると、人の働き方を見る目も少し変わる。
会議でよく話す人の説明だけで、全体をわかった気になっていないか。問題を起こさなかった人より、起きた問題を解決した人ばかり覚えていないか。
忙しいと、自分も目立つ場面だけで判断してしまう。
だから、身近な人に、普段どんな問い合わせを引き受けているか聞いてみる。助かった仕事があれば、その場で具体的に伝える。
それで自分の待遇が変わるわけではない。評価されなかった経験を、美しい教訓に変える必要もない。
ただ、自分が関われる範囲では、同じ見落としを少し減らせる。誰かの名前を出す、一つの言葉からでもよい。
あの仕事は、確かにしていた
面談のあと、自分が担当した仕事を、少し書き出した。
大きな成果だけを探すと、筆が止まる。でも、誰が困っていたか、何を確かめたかと思い出すと、書けることがあった。
それで評価が変わるかは、まだわからない。
ただ、何もできなかった期間ではなかったと、事実で確かめられた。
次の面談では、二つのことを聞こうと決める。今すぐ変わらない条件については、外の情報も集めてみる。
認められたかった気持ちは、残っている。それを持ったままでも、次の動き方は選べる。
帰る前に、明日の仕事を確認する。
今日は、追加の依頼をそのまま引き受けず、期限と優先順位を聞き返した。
自分の仕事を大切に扱うことは、そこからも始められる。
